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※シンデレラパラレルです
その昔どこかの町にシンデレラと継母が二人っきりでくらしている家がありました。
「おい、! 何やってんだよ裁縫なんかすんじゃねぇって針で指刺したらどうすんだ!」
「コータローがやったら無茶苦茶になるだけじゃん。私がするんですー」
継母のコータローは血の繋がらない娘のを蝶よ花よとそれは過保護に育てていました。
その甲斐もあってはすくすくと育ち誰にも負けず気品と美貌を併せ持った娘になりました。
二人はそれなりに幸せに暮らしていましたがある朝のこと。
コータローが欠伸をしながら階段を降りるとは椅子に腰を掛けて一枚のチラシを見つめていました。
「、オハヨッ」
「おはよー、朝刊そこー」
そこ、といってが机の上を指さします。机の上には数枚のカラフルなチラシ、朝刊、そして飲みかけのコーヒーがありました。
「何読んでんだ?」
コータローが隣に座り朝刊を手にしながら言いました。
「チラシ。お城で舞踏会だってさー」
お城、という単語を聞いてコータローの顔が一瞬青ざめます。
コータローがの持っていたチラシを引っ手繰るとものすごく嫌そうに顔を歪めました。
「あ! コータロー、ちょっと何?」
「……、これは舞踏会じゃなくて武闘会の誤植だ。スマートじゃねぇよな」
「無理ありすぎなこと言ってないでソレ返してよ。まだ地図見てない」
「ダメだ! 今夜は外出禁止な!」
「はぁ!?」
コータローはその一枚をチラシをクシャクシャにして自分のポケットに突っ込むと怒ったように台所へ去りました。
「もー、コータローのバカー」
日も暮れて、ドアや窓は既に外から開けられないようになっていました。
は自室でブツブツ言いながら脱出経路を探しています。
ガタガタと窓を揺らし鍵が緩まないか試していました。
「っていうか一人でお城行っちゃってさー。何なんだろ」
「それはお城に赤羽がいるからよ」
「へー、あかッ!?」
答えるはずのない独り言への返事に驚いて振り向くと黒いローブを羽織った魔法使いジュリがいました。
ジュリはニッコリと笑って持っているロッドを手で遊ばせていました。
「赤羽?」
は極力落ち着いた声で聞き返します。
「そ。お城の王子サマでコータローとは犬猿の仲」
「へー。じゃぁ何で今日行ったの? 嫌なら会わなきゃいいのに」
「大方喧嘩ふっかけに行ったんでしょー」
ジュリがそう言うとの顔から血の気が引きます。
一国の王子相手に喧嘩を吹っ掛けるなんて有り得ないことだからです。
「え、ちょ、バカを止めに行かなきゃ!」
は先ほどより激しく窓をガタガタと揺らし始めるとジュリはロッドをクルリと回しました。
「もう、だから私が来たんじゃない」
「え?」
「お城に連れてってあげる」
「え?」
「はいイッテラッシャーイ」
「え?」
ジュリがクルクルとロッドを回すとキラキラとした光の粒がの周りを囲いました。
「へ?」
光の粒が消えて周りを見回すとは大階段の上、お城の玄関口にいました。
「うわ、スゴ」
漏れた感嘆はジュリの魔法、そして壮大なお城に対してです。
しばらくはポカンとお城を見上げていましたがジュリの言葉を思い出し急いで城の中に駆け込みました。
玄関をくぐるとすぐ大広間に出ました。
「あ!」
→バカ母だ!
→王子だ!
→……ここ、どこ?
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