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→バカ母だ!
赤い絨毯が敷き詰められ綺麗に着飾った貴婦人が上機嫌に踊っています。
その広間の中央に母はいました。
母は何かに向って喧嘩腰に怒鳴っています。
その横を見ると赤い髪をした王子が母を無視してギターを弾いていました。
予感というものは悪い方向で実現するものだとは思いました。
「ちょっと、コータロー!」
駆け寄って母を制止すると赤羽王子は母を無視して弾いていたギターの手を止めました。
「! なんで居んだよ」
「王子相手に喧嘩してるって聞いたから飛んで来たんじゃない!」
「チッ」
舌を打つとコータローは赤羽との壁になるようにを後ろに回らせました。
「が来たから今日のところは帰ってやる」
「フー……娘さん、コイツが母親だと苦労するだろう」
「ええ、とってコータロー邪魔!」
赤羽の声に答えようとはコータローの脇から顔を出そうとしましたがコータローがサッと動いて邪魔をします。
「コイツに顔見せんな、汚れんだろ!」
「アンタ王子相手に何言ってんの!」
「良いんだよ、んじゃ帰るかんな」
そう言うとコータローはを掴んでズカズカと出口へ向います。
「え、ちょ、もう! 失礼します王子!」
最後の挨拶ぐらい、とは必死になんとか腕を振って広間を退出しました。
帰り道、二人で歩いているとコータローが口を開きました。
「、出口全部塞いだのに何で居たんだ?」
「ジュリが送ってくれたの。コータローが王子相手に喧嘩してんじゃないかって」
「……スマートじゃねぇな」
はジュリがいなければ今頃どうなっていたかと思うと背筋が寒い思いがしました。
「それにコータロー、王子が声をかけてくれてるのに返事しない顔も見せないってのは失礼でしょ。何であんなことしたの」
「今日の舞踏会、あいつのお后探しも兼ねてたんだ」
「ふーん。民間からお后選ぶなんて国が安泰な証拠ね。で、何で?」
が二,三度頷きます。
コータローは言い難そうに何度か咳をしましたが誤魔化しきれないとわかりガシガシと頭をかきました。
「お前の顔でも見せてアイツに惚れられでもしたら大変だろ」
「コータロー、考えすぎ。まぁそりゃぁ自分の嫌ってる相手のとこに娘が嫁ぐなんて気分の良いもんじゃないと思うけど」
「そうじゃなくて」
ピタリ、とコータローが足を止めるので数歩先でもそれに合わせます。
振り返るとコータローが目を逸らしながら拳を握っていました。
「コータロー?」
「お前がいつか家を離れるのもわかってるつもりなんだけどよ、もうちょっとだけ、側に居ろって」
言われては初めて自覚しました。血の繋がらない母がどれだけ自分を大切に思ってくれていたか。
「コータロー、大丈夫だよ。私はそんなすぐ結婚するようなタイプじゃないし。ね」
母に近づいて肩をポンと叩きます。
コータローはすこしだけ照れくさそうに笑ってくしゃくしゃとの頭を撫でました。
「帰っか」
「ん」
またそれなりに幸せな二人の生活が始まります。
二万打多謝!
コータロー母オチ。多分3つの中で一番ドリームしてるんじゃないか。
でもどっちかっていうと親子愛みたいなもんだからドリームじゃないかも。
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