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「お前赤羽とどういう知り合い?」
どう説明しようか。
分類不可7
芸術の時間は2限続きで最初の1眼目は油絵のナイフ片手に隣同士とお喋りに終始して2限目になって皆真面目に絵画を始める。
そんな周りのザワザワするクラスの中、わざわざ隣までイーゼルを引っ張ってきたコータローは出し抜けにそう聞いてきた。
時間は1時間いっぱいあるのでこれまでの経緯を事細かにコータローに話すことも可能だが、ヤメた。
長く話すのは面倒であるしコータロー相手にとりたてて言わなければならないことでもない。コータローはよく話すが1クラスメイトだから。
「腐れ縁」
私の鈍い頭で算出された最上の答えはコレだった。
どうせコータローはいずれ隼人にも同じ質問をするだろうし隼人もコータロー相手に元彼云々言うことはないだろう。
コータローは紙パレットの上にビビッドカラーをぶちまけている。
「ふーん。今でも仲いいのか」
「まぁ小学生時代からの知り合いですから」
昔は違う地域に住んでいて、私には殆ど昔馴染みがいないことはいつかコータローに話したことがあった。
ナイフでキャンパスの縁を削ると生乾きの油絵の具がぺりぺりと剥がれた。
「俺、アイツ嫌いなんだよなー」
何でもないことのようにポツリとコータローが呟く。
感情表現の激しいコータローらしい直接的な物言いだと思った。
同時に朝の短い時間ですら何か口論していたことを思い出す。
「何か音楽がどーのリズムがどーのアメフトに何求めてんだか小難しすぎてサッパリわかんねぇし、キザったらしいつかカッコつけだし」
同感だ。
コータローの言っていることはよくわかる。隼人は隼人にしかわからない感性で考える人間だし妙にキザったらしい節がある。
私とコータローに違いがあるなら隼人のそういった行動を不快に感じるか何とも思わないかの差だろうか。
コータローがアメフト部であったことは予想していなかったが今考えればサッカーにない用語も言っていた気がしないでもない。
そのへんは聞き流していたからどうにも曖昧だ。
「なぁ、コレどうしたら良い?」
コータローの困ったような声に振り向いて見ると紙パレットのうえに茶色とも緑ともつかない濁った絵の具の玉が形成されていた。
「コータローとはどういった知り合いだ?」
家に帰って、ぼーっと隼人の弾くギターを聞いていたら唐突にそうきかれた。
またか。
慨視感を覚えながらベッドから上半身を起こす。もうペロペロいうギターの音は聞こえてこなかった。(家ではアンプ禁止)
「クラスメイト」
それ以外の答えはない程簡潔に答えると隼人はギターを丁寧にケースになおした。
「隼人はコータローと仲悪いんだ」
ヘッドに置いたペットボトルの蓋を開ける。
隼人は少し驚いた風に目を円くした。
「コータローが言ってた」
「フー……」
たっぷり間をとり、隼人はキチンとギターケースを壁に立て掛けるとゆっくりやってきて私の横に座った。
「奴とは音楽性が合わないよ」
スプリングが軋む音がしてベッドが少し傾く。
隼人はそのまま重力に従って仰向けにベッドの上に倒れた。
「単調なリズムすぎて相手には読まれやすいし随所随所で走る傾向はあるし音に身が入っていない時もある」
隼人は半眼になって煩わしそうに言う。理解不能。
「スミマセン日本語で翻訳してもう一度」
「単純で猪突猛進、時々見掛け倒しってところかな」
最初からそう言ってくれ。
「は…」
「ん?」
最後の言葉がうまく聞こえない。
振り向くと隼人は一瞬逡巡して見えたが話しを続けた。
「いや…………今日晩御飯何が良い」
「おでん」
「季節を考えてくれ」
「おでん」
話は大体6月中旬〜下旬ぐらい?
もうちょっと続きますOTL(まとめる能力無いんで!)
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