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「一緒に買い物どう?」
「お一人でどうぞ」
分類不可4
待ち合わせの場所を見ると既に隼人が立っていた。ギター背負ってるしサングラスしてるし髪が赤いから見つけやすいな。
隼人は既に私に気付いていたようで目があうと軽く手を振った。
「さっきのオジさん、ナンパ?」
合流した第一声がコレですか。
っていうか見てたのか。
「見てたのなら助けに来るとかないんですかアカバサン」
「助けに行く暇もなく断ってたくせに」
そう言って隼人が苦笑する。
確かに近寄ってきた瞬間バッサリ斬っちゃったんだけど。
あそこで気弱なフリでもしてれば少女漫画によくある「これ、自分の連れです」なシーンが見れたのだろうか。
「じゃあ行こうか。お昼は?」
「まだ」
「じゃぁどこか適当な店に行こうか」
あー、人込み歩くのか。隼人、どう見てもギター邪魔だよ。
適当な店、全部混んでるんですけど。
「もうファーストフードでも良くない? 適当にお腹に入ればいいよ」
「フー、そうだな」
隼人は昔からファーストフードが好きじゃない。何でか知らないけど。
でも他の店探すのも面倒だったから渋る隼人を引っ張ってバーガーショップに入る。
「、どこか席とっといてくれ」
「うん、じゃぁ私アップルパイとポテトSとアイスコーヒーミルクMで」
「……昼飯だぞ」
隼人が色つきのサングラスを外す。
「そうで御座いますよ。昼だからこそ重いもの食べたくないんですー」
「はいはい」
反論されても私が意見を変えないのは目に見えているのだろう。
呆れたように隼人が私の背を押してさっさとテーブルとれと促す。
「二階行ってるね。会計後で渡すよ」
「いい。居候としてこれぐらい奢らせてくれ」
「はいはい」
ここで反論しても同じく隼人は意見を変えないだろう。
私はカバンを持ち直すと踵を返して階段に足をかけた。
あ。禁煙席空いてる。
二階も他と同じように混んでいた。昼時だからなぁ今。
私は小さい二人用の席に座って(壁側は私のモンだ!)周りをぐるっと見てみた。
親子連れもいるけどやっぱり学生が多い。グループで来ているどっかの中高生らしき男子は声高に笑いあっている。
ぼーっとしながら目を泳がせているとカウンター席の、ギリギリ顔が見えるぐらいのところに外人が二人連れで座っていた。
ヤバイ。
白状すると、私は日本人よりも欧米型の顔の方が好きだ。大好きだ。
最近まで韓国俳優が世間で持て囃されていたようだがあんなのっぺりした顔には興味ない。
やっぱり金髪碧眼の美形とかちょっとラテンな兄ちゃんとか。そんなのが好きだ。
私が今まで好きな人がいなかったのもコレじゃないかと思う。
う わ ぁ ストレート。
あ、お兄さん達出て行っちゃう。
あー、もうちょと見ていたいのになぁ。
「、?」
「うぇ?」
顔をあげると隼人が不思議そうな目をしながら対面に座っていた。
トレーにはキッチリ私が頼んだものとバーガーセットが一つ。
「何かあったのか?」
「いや、ね。うん、カッコいいお兄さん達がいましてね。見とれてた」
「……どこ」
「あそこ、ゴミ箱の前」
フ、と視線をよぎらせるとお兄さん二人はトレーの上のゴミを片付けながら何か話していた。
「あーカッコイイ。モロタイプ。ダメ、かっこいい」
「…そうか?」
「んー同性だとわからないのかなぁ。あー行っちゃう」
お兄さん達はそのまま階段を降りていった。後姿も日本人と何かが違うんですけど。
「いいよねーカッコイイよねぇ外人は」
そういえば隼人の前でこういう話するのは初めてだなぁ。
そう思いながら視線を戻すと隼人はため息をついた。
「デート中に彼氏の前で他の男に見惚れるってのもね」
え? デート?
デートなの、コレ。
……言い出したの私の方だ! 昨日の私のバカ!
うわぁ。しまった。隼人もここまで引っ張るか。
「妬いちゃった?」
「少しね」
慌てながらそんなことないよとか言えないのか。言えないか。
アップルパイを齧ると高温のリンゴがドロドロと口の中に入ってきた。
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