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三時時の情事
俺が自分の部屋で寝転びながらダラダラと本を読んでいたらいきなり本が動いたからびびった。
顔を上げると本は既に机の上に投げ出されて代わりにが笑顔で座ってた。
コイツがまた可愛い。行動は突拍子もないし言動はガキ臭いけどそこがまた可愛い。
異性として可愛いっつーより目が離せない妹みたいな。
こいつが横にいると何とも言えない庇護欲が駆り立てられる。
最近は任務で離れてたりユウやアレンと一緒だったからちと寂しかったけど。
「ラービラビラビ、今ヒマー?」
「んーが俺の本取っちまったから暇んなったさー」
遊びに来てくれたのは嬉しいけど、意地悪のつもりでちょっとだけ皮肉を込めた。
それでも凡そ彼女が気付く筈も無い。気が付いていても無視してるだけかもしんないけど。
はニコニコとしたまま手にしていたローソクに着火し始める。
……ローソク!?
「ちょっ、! 放火なら他所でやれって!」
慌てて起き上がっての手からマッチをひったくるとの頬が膨れた。
「放火なんてしないよ! それよりラビも百本点火するの手伝って」
「は?」
「ラビと私の百物語、始まるよ!」
「いやいやいや一人50話はキツいから!」
マッチをの手の届かない棚の上に置いて手際よくローソクを吹き消す。
すると俺が立った隙をついてが俺のベッドを占領した。
「ラビ一緒に遊ぼーよー。ヒマー」
「百物語以外なら遊んでやるさー」
「じゃあ食堂行ってみたらし団子を大量に注文してアレンが頼もうとしたら団子粉がない状態にしてアレンのがっかりする顔を拝もう!」
「そんだけ食うの辛い上にアレンに怒られんのも結局俺だから、却下」
「じゃあ蕎麦を大量に以下略!」
「同様の理由で却下さ」
「ぶー」
ベッドの縁に腰掛けると軽く背中を叩かれた。
そのまま無視してると飽きたらしく今度は人のマフラーをいじり始めた。
ちょち苦しい。
「すること無ぇんなら一緒に昼寝でもすっかー?」
「ヒルネー?」
「そー」
上体をゆっくり倒して寝返る。スプリングが小さく鳴った。
目の前の女の子は目を丸くして俺を見てる。
俺は笑ってのサラサラの黒髪を撫でてやる。
「お子様には昼寝が必要らしいしなー」
「お子様じゃありませんー」
「はいはい、アダルトなちゃん」
「キィィィ!」
が小さく奇声を発しながら背中を向けた。
外見のコンプレックスからかはガキ扱いされることを嫌がる。
それは昔っから変わらない彼女の琴線だ。
仕種とか行動とか、やっぱり子供みたいだからどうしてもからかいたくなる。
つってもどうせコイツは寝て起きたらガキ扱いされたことも忘れてまた懐いてくるんだ。
そこらへんもガキ。
「おやすみさー」
「むー…ふァ」
俺に背中を向けたままが欠伸する。放っておいたら確実に寝るな。
そういえばコイツ俺以外の男の部屋でもあっさり入るし勝手に寝るもんな。
ユウの部屋とか、前に何日も泊まってたみてーだし。
まぁあのユウがコイツに手ぇ出すわけもねぇけど。
つかユウ、ぜってーコイツのこと女として見てねぇ。普通一回はくっつくっしょ、あんなけ長いこと付き合いありゃ。
反対にアレンは…ありゃ俺にもよくわからん。
好意あってめっちゃ押してるみたいに見える時もあるし顔赤くして純情っぽかったり揶揄って遊んでたり優しいふりしてさり気無く虐めてたり。
おもちゃぐらいに思ってるんかもしれんなー、おもろいから。
「ー?」
肩を掴んで仰向けにするとは毒リンゴ食った姫さんみたいな安らかな睡眠に入っていた。
しっかり目を閉じて髪を遊ばせて。
普通にしてたらキレーな顔立ちしてんだよなぁコイツ。きちんと化粧して黙って座ってたら俺アウトかもしれん。
それが起きだしたらあんなガキっぽくなるんは生命の神秘ってやつなんだろうか。
の寝顔を眺めながら色々考えてると軽くドアを叩く音がした。
「ラビ、いいですか?」
「どうぞー」
声からするとアレンだな。噂をすれば影…心の中の噂だけど。
「ちょっと失礼しま……またラビがを勾引してる」
「かど…ッ!? 誤解さ!」
「へー、ふーん」
アレンから訝しげな、はっきりとした疑いの目が向けられてくる。
「いやマジ、別に俺が無理にコイツ部屋に連れ込んだワケじゃねぇし」
「……そんなことしたんですか?」
冷たい笑顔を湛えたままアレンの左腕が徐々に変化を始める。
ヤベ、殺される。
「ちょ、起きろッ、起きろー! ちがう! 俺のマフラー掴むな起きろ!」
その後、俺はを抱えたまま(マフラーから手ぇ離してくれんかった)アレンから本部内を逃げ回ることになった。
とりあえずに関してはアレンからは少なからず敵意を持たれてることは、わかった。
しかもそれが命に関わることっぽいことであるのもわかった。
だからといって可愛い妹分をほいほい遣ろうとは思わない。
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