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*たーらこーたーらこー
たーっぷーりー たーらこー♪
「……何やってんだお前」
みみみみみ、見られた――――!!!!
鱈子
自分の部屋で赤い寝袋に包まってたらこごっこしてた時だった。
折角機嫌よく歌って跳ねてたのに急にドアが開いてしかもたらこごっこが神田に見られた。
いつもは吊った目を丸くさせて素で驚いてる神田がいる。
フリーズしかけた頭をなんとか起動させると自然と大声が出た。
「うわぁぁぁん神田のバカーッ!!! ノックしてよぉぉー!!!」
「なッ、ノックしたのに返事しなかったのはお前だろうが!」
たらこごっこが見られたなんて初めてだよ! 私の密かな楽しみが見られたなんて恥だよ!
「私もうお嫁に行けなーーい!!」
「関係ねぇよ!!」
「気休めなんて聞きたくないわバカー!!」
このまま逃げてやろうなんて走り出そうとしたのに何故か目の前に床が近づいてきた。
寝袋脱ぐの忘れてた!
「痛っ! ……くない!」
床が目と鼻の先で止まって衝突は免れて痛くない! …なんで?
「ったく忙しねぇ奴」
「あ、なんだ神田か」
首だけ動かすと神田が横に居て私を支えていた。
さっきので動いたんだ。瞬発力凄いね。
「んなアホな格好しってっからコケんだバカ」
「フンだ神田には乙女の有意義な余暇の楽しみ方を知らないんだ」
「それはお前だけだ」
「そんイタ!」
今度は本当に床と私の鼻が衝突した。喋ってる途中に手離すなんてヒドイや!
仰向けになって下から神田を睨むと鼻で笑われた。
「さっさとそれを脱げ。今から任務だ」
「神田、脱がしてよ」
「自分で脱げ!」
「えーチャックに手が届かないんだ実は」
「……」
「……」
「……置いて行きてぇ」
今神田明らかに嫌そうな顔した上に舌打したよ。失礼な。
しかも置いて行きたいって何さ。
「神田ァ〜おーねーがーいータラコ歌ってあげるからー」
「歌うな」
ジ――ジジジジ
大儀そうにしゃがんで神田が寝袋のジッパーを下げる。
あー暑かった。飛び跳ねてたのが悪かったかな。汗かいたかな?
あ、何さ神田、変な顔して。あ、向こう向いちゃった。痛、ポニーテール当たった!
「かんだー?」
「……さっさと服着替えて出て来い」
「へ?」
よいしょと起き上がると神田はさっさと部屋の外に行ってしまった。
何だろ、私そんな目を背けたくなるような格好してたかな……あ、パジャマだ。
あーそういえば起きてすぐタラコ始めたんだっけか私。
もう一回寝袋着直して外出たら神田今度は怒るかな。
焦った。いきなりだったから焦った。
何でアイツ寝巻きのまんま寝袋に包まってんだ?
というか寝袋に包まって飛び跳ねてたら願いでも叶うのか?
ワケわかんねぇ。
扉を背に息をつく。
結構時間かかるなアイツ…。
「ユーウ、おめっとーさーん」
「……は?」
バカの着替え待っていると今度はもう一人のバカが俺の肩を馴れ馴れしく叩いてきやがった。
ふざけたオレンジ頭の男がヘラヘラと掴み所の無い笑顔をこちらに向けながら立っている。
しかも何でおめでとうなんだ?
「いやー、ユウもやーっと男になったんだなーと」
「俺は後にも先にも男だ」
「んー? いやいやそういう意味じゃなくてさ」
にやにやと俗な笑い方しかできないのかコイツには。
黙っているとラビの吊りあがった口端が動いた。
「でもイキナリはマズったっしょー、まぁ次は無理やりでなくきちんと合意の」
「
な ん の 話 だ
」
「え? ユウのこと襲ったんじゃねーの?」
…………
…
「誰が襲うか! あんな色気のねぇ女!」
「神田ー! 聞こえてるー!」
「お前はさっさと着替えろ!」
ドアの向こうからの抗議が聞こえてきたが却下だ。
「えー違うん?」
「違うに決まってんだろテメェ! 失せろ!」
今にも斬りかかりそうな衝動を抑えてラビを睨みつける。
それでもラビは面白くなさそうに唇を尖らせるだけで立ち去ろうとはしない。
「だってー『もうお嫁に行けない』とか『自分で脱げ』とか」
「っ……斬る!」
「うわっ! 本気で抜刀しやがった!」
背中の六幻を抜くとラビが自然に間合いを開ける。
逃げ足だけは速い。
「神田ー用意でけたよー! …あれ、ラビ」
「おーす、ー」
「バカに付き合ってるヒマはない、行くぞ」
「あ、ちょっと待って神田」
待たせた上に引き止めて何のつもりだ? 振り返ってみたらがラビに手を振っていた。
…殴りてぇ。
舌を打つとが赤い塊を抱えているのが見えた。
「おい、その左手にあるのは何だ?」
「寝袋」
「捨てるぞ」
「イヤー! 神田のバカー!」
……正直、コイツ等の相手は疲れる。
たーらこーたーらこー *元ネタはキューピー○ヨネーズ
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