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コムイさんからもらった飴を食べてから少し違和感がある。
なんていうか、目線がいつもより高い。
いつもは背伸びしないと見えなかった棚が今は背伸びしなくても何が乗っているのかわかる。
もしやこれは、身長が高くなる薬入りとか!
私がいつも小柄なのを気にしてたからそれを可哀想に思ったコムイさんが科学者の手を差し伸べてくれたとか!
うわ、コムイさん凄くいい人!
metamorphose
「神田ーかーんーだーあ、ラビ!」
廊下を歩いてっと前方からちょっと小柄な綺麗なお姉さんが手を振って嬉しそうに歩いて来た。
艶っぽい黒髪に混じり気のない真っ黒の目、綺麗に整ってる。でもちょっと天然そうだ。シャツ着てるから胸の起伏がちょちわからんのが悔しいな。
俺的には断然ストライクだけど、見たことない女だ。
会ったことあったら先ず忘れるわけねぇし、でも向こうは俺の名前知ってるし。
「ラビ、神田見てない?」
お姉さんは俺の前で止まるとすこし首を傾げてみせた。
「いや、知らねぇさ」
ユウの居場所よりもお姉さんの正体のが気になるさ。
教団に居たっけ? ……いなかったよなぁ。いたらチェック済みのはずだし。
「あ、ラビ! 私は昨日の私とは少し違います。さぁどこだ!」
どこだと言われても昨日のお姉さんは知らないんだからわかるワケねぇ。
でも何だか話を合わせないとこのまんまどっか行っちまいそうで、嫌だし。
折角ストライク入ったのにこのままサヨナラは悔しい。
「んー…あ、髪切ったさ?」
「ぶー」
間違えたらしい。
お姉さんは不満そうに首を振る。
「私・はこの度身長が少々伸びました!」
へー、身長かぁ、そりゃ気付かねぇなぁ。
……あれ?
「お姉さん、もう一度お名前をお願いできませんか」
「・。何?」
ウソ―――!!!
何であのガキ臭いが一日でいきなり俺の好みに変身するワケ?
いや確かに面影つか声とか仕種とか似てるけど。
「成長期なのです!」
成長しすぎだ! いや俺的には大オーケー!?
ああああああああ
急に大人びてるつか綺麗になったつかヤッベーモロに来た!
童顔の奴って一定年齢になると急に老け込むって聞いたけどこういうことだったんだなぁ!
「、、俺と一緒になる気無うぉブ!」
「ラ・ビ?」
痛い痛い痛い痛い!
頭頭! 締め付けられてる俺!
恐る恐る振り向くと笑顔のまま左腕を解放したアレンが立っていた。
「一体どの口でを口説いてるんでしょーねぇ?」
口元だけで笑ったままアレンは俺の頭を掴んだまま俺を宙に放り投げた。
視界がぐるぐると回ったと思ったら今度は床に激突した。
「イデー!」
「、大丈夫ですか? ラビにとんでもな……あ、スイマセン」
「へ?」
「いや、あの、僕ラビが知り合いの・のこと口説いてるもんだとばかり思ってしまって……」
狼狽してアレンがおろおろとに謝罪をする。俺にはゴメンの一言もねぇのに。
「アレン、私・だし、アレンとも知り合いだよ?」
「え、いや、でも僕は貴女のような綺麗な女性の知り合いは……?」
あ、アレンの声がちょっと上擦った。
やー、そりゃビビるわな。あのがこんな姉ちゃんなってるなんて思ったら。
「、・? よく神田を怒らせてるちっちゃい?」
「ちっちゃくなんかないわー!」
怒ってがアレンの頭を叩いた。
それでもアレンはノーダメージみたいさ。いや、別のところでダメージ受けてるっぽい。
「う…嘘だ! がこんな……嘘だぁ」
起き上がって近づくとアレンがティムキャンピーを引っつかんでそれに話しかけていた。
「ラビ、なんか私失礼なこといわれてる?」
「ちょっぴし」
肩を竦めて応えるとは口を尖らせた。
いや、俺に対して怒られても。
「にしてもちょーっと身長が伸びたぐらいでそんな深刻になられても、ねぇ?」
「いや身長だけじゃなくて顔とか変わってんぞ」
「……」
の動作が一瞬止まったと思えば、今度はダッシュでが廊下を渡っていく。
そんで二,三分程したら今度は顔色をメチャメチャ蒼くして帰ってきた。
「何! 私の顔じゃない! 誰コレ!」
「え、だろ?」
「だよ、私はだよ。だけど急に歳とってるよ!」
現状がよく呑み込めていないのは本人の方みたいさ。
は手をバタつかせてどうにか元に戻らないか試している、それじゃ無理だろ。
「あ! コムイさん!」
今度は急に大声を上げては司令官室目掛けて走って行った。
「ちょ、待てって!」
唸っているアレンの首根っこを掴んで、俺はどうにかの後を追った。
「あ、神田! ちょっと聞いてよ!」
「断る」
「えー神田冷たいー」
「いつも変わんねぇだろ」
なんとか司令官室まで追っつくとユウとがドアの前を占領してた。
ユウは驚いた風もなくと接している。
「……ユウ、これ誰かわかってんさ?」
アレンを放して、の横に立つとユウが眉を微妙に顰めた。
「あ? だろ」
スゲー! 一発さ! 俺もアレンでもわからんかったのに!
「わー、さすがだね神田。自分でも一瞬わからなかったのに」
「声は一緒だしやってる事がいちいち変わらねぇんだからわかって当然だろ」
いや俺わからんかった。
「あ、私コムイさんに抗議しに行くんだから神田も手伝ってよ!」
「俺は書類を渡すだけだ」
「よしこのドアを強行突破!」
「…聞いてたか?」
が聞くわけもない。顔が変わっても中身は変わらんのな。
ドアノブを盛大に引っつかんで勢いよく重厚なドアを開けると奥ではコムイがニコニコと座っている。
多分、実験が成功して御満悦なのだろう。
「やー、ちゃん美人になったねー」
「コムイさん! 人で勝手に実験しないでよ! もーどーしーて!」
散らばった紙類を踏み潰しながらが中央に躍り出る。
あー手足けっこうスラっとしてんなー。益々いいなー好みだなー。
「そのまんまのが良いさー」
「さっさと元に戻してください! 僕年上の…
もいいけど、
小さいのが可愛いです!」
「小さい違うよ!」
小さいって言葉に最近よく反応するな。やっぱコンプレックスってやつだろうか?
つーか、いつのまにかアレンが復活してる。
「別に戻してもいいけどー……」
歯切れ悪く言葉を切ってコムイがを見る。
「今のちゃんは、まぁ将来の姿なんだけど。何歳ぐらいにみえる?」
「へ?」
中央で手を腰にあてて仁王立ちするを見る。
肌…にしても顔立ちにしてもそんな歳いったようには見えんな。
「……にじゅうに、さん」
「20前後?」
俺とアレンが呟いて応えるとコムイは壁に寄りかかって待っていたユウに顔を向けた。
「神田君は?」
ニコニコと笑った顔からは拒否は受け付けない、というメッセージが聞こえてくる。
ユウは舌を小さく打った。
「二十七」
「えー、27は行き過ぎじゃねー?」
「いや、凄いよ。神田君どんピシャ。十歳とる計算だからねー」
マジでか。何か悔しいぞコレ。のことになると何で全部わかるんだコイツ。
もアレで27歳かよ。どうみても20代前半だろ。
「ちゃん、神田君以外には若く見られるみたいだよ良かったね」
横からああ童顔だから、というアレンの呟きが聞こえてきた。に聞こえたら怒られるぞ。
「いいからさっさと元に戻してよー」
「はいはい」
満足したようで、コムイは机から赤青二色飴玉が詰まった瓶を取り出してきた。
「じゃ、赤い方の飴一つ食べてね、十歳若返るから」
「ハーイ。ね、イチゴ味?」
「ごめん砂糖だけ」
が少しムクれた。
元ネタ:メ○モちゃん。
メル○ちゃんネタまたやるかもしれません。
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