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「イヤー! 離して!」
「あ、コラ暴れんな!」
「さっさと脱がせラビ!」
「が動くからボタン外せねぇの!」
「いーやー!」
「観念しろバカ!」
「痛いの最初だけだって、な?」
「ウソだー!」
恒例行事
ユウは後からぎゃあぎゃあと喚くの腕と首を掴んでを椅子に押さえつけている。
それでもは足を懸命にバタつかせてちっとも大人しくしてくれない。
「神田のバカー ラビのバカー」
「バカは手前ェだ!」
「に言われたく無ぇさ」
上着のボタンに手をかけると一層が声を大きくして騒いだ。
「ユウ、ちょい黙らせて」
ユウは返事こそしなかったが首を掴んでいた手を離し代わりにの口に蓋をした。
「んんー! んー!」
口を塞がれても抵抗の色は衰えを見せない。
っつかの団服は無意味にボタンが多いから時間かかる。
「毎年毎年懲りないよねぇホント」
丸椅子に座ったコムイが注射器を片手に笑う。
ケラケラと笑うだけでコムイは加勢するつもりはないらしい。
足だけでも押さえてくんねぇかな。
「ちゃん、どうせ全員がやんなきゃいけないことなんだからそろそろ観念しなよ」
「ンんー」
口塞がれてるからわからんが多分「ヤだー」って言ったんだと思う。
あれ、デジャヴ。去年も一昨年も同じ光景見た気がする。
気がするんじゃなくて見たな。うん。
去年も一昨年もこうやってユウと二人でを押さえつけてなんとか予防注射させたんだ。
結構大変だからそろそろ観念して欲しいさ。
なんか嫌がる女の子無理やり脱がすって好きじゃねぇし。
「うう、恨んでやる……皆敵だー」
ベッドに無理矢理押さえ込んでどうにか予防注射を済ませた後、腕を揉みながらが項垂れていた。
もう終わったんだから引き摺ることねぇのに。
「もう、折角僕直々に注射してあげたってのに」
コムイがカルテから目を放さず呟く。
普通教団本部での予防注射は医療班の誰かが担当するのだが、は暴れるので特別コムイが割り当てられている。
で、ついでに俺とユウが押さえつけ係になってる。
「あーあ、私の人生もう終わりね。きっとこの死んだ病原菌が私の体内で甦ってそれが元で寝たきり人生を歩むんだよ。寝たきりになったら神田責任とって面倒見てねー」
やたら硬い医療用ベッドでうだうだと寝転んでが呻く。
ユウはそんなを一瞥して
「誰が見るか」
凄く嫌そうに呟いた。
するとコムイが書き終えたらしいカルテを仕舞ってエセくさく微笑んだ。
「じゃぁ僕立候補ー。寝たきりで体動かせないなら投薬し放題ってことだよね」
「鬼畜さ…」
後半、半分本気そうなところが余計に怖い。
「、来年から注射の担当変えてもらえ」
「たった一言でそこまで信用落とせるなんてさすがはコムイさんだね!」
が嫌味なのか冗談なのかよくわからないことを言った。
「あー喉渇いた」
「そりゃ、あんなけ大声で騒げばなぁ」
人気の無い廊下にすこし甲高い声が二つ響く。
とラビが横にならんで俺に歩調を合わせて歩いている。
っていうかこいつ等何でついてくんだ。
「神田ー、私牛乳飲みたい」
「勝手に飲みに行け」
裾を引っ張られる。俺に報告する暇あんならさっさと食堂いけ。
「ぎゅうにゅうぎゅうにゅうミルク! かんだー、ミルクー」
「だから勝手に飲みに行けっつってんだろ!」
右から耳障りな声が騒いでいる。ウゼェ。
「わかった! はユウのミルクが飲m」
一瞬見えたバカの顔は低俗な笑いを浮かべていた。
「うわお。ラビが飛んでった」
がラビが飛んで行った通路の後方を窺いながら間延びした声で言う。
「いつの間にか念動力が使えるようになったんだろ」
「いや今の神田明らかにラビのこと蹴ったじゃん」
「俺の蹴りが入る前にすっ飛んで行ったんだ」
「いやいやいや、無茶言ってるよこの人」
「来年は手前ぇだけもっと太い注射にさせんぞ」
「ゴメンナサイスミマセン私が間違っておりました」
注射、という言葉に即座に反応したが平謝りに謝ってくる。
これは後々も使えそうだ。
「行くぞ」
踵を返して歩き出すと慌ててがついて来た。
「え? どこ?」
「食堂行くんだろ」
「あ、うん」
先ほどまであんなに騒いでいたのに忘れていたらしい。バカめ。
「来年は予防注射なんてなくなればいいのになぁー」
「無理だろ」
階段を下っているとが呟いた。
また来年もコイツを押さえつけるのかと思うと少しだけ胃が重い気がした。
下ネタ担当=ラビだと思ってる和人です(帰れ!)
折角夢に出てきたネタをこんな形にしか昇華できないって……orz
この人たち何歳ぐらいだろ。
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