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「おはよう、アレン」
「おはようございます」
昨日と同じように仲間とおはようのキスを交わすと、横にいた神田がお茶を吹いた。
六幻の6
朝になってアレンはゆっくり着替えて食堂に行く。
森の上ばかり通るのでアクマの襲来がそう多いことでもないし軍艦に乗っている感覚はあってもあまり緊張感はない。
昨日の夜は(神田がキレていた以外)平和だったし時々船が傾くことはあったがベッドの上でゆっくり休めた。
食堂のドアを開けると神田とがテーブルについて何か話していたようだった。主にが話していたのだろう。
「おはよう、アレン」
「おはようございます」
は起きてきたアレンに気付くとアレンの方に近寄ってきて昨日同様アレンの頬とティムキャンピーにキスを落とした。
挨拶としてアレンがそれを返すと、神田が飲んでいたお茶を吹いた。珍しく動揺したようだ。
「それじゃあ朝ご飯もってきたげるね」
訝しげにアレンとを交互に見る神田にも気付かず、が厨房に入っていく。
が厨房に引っ込んだのを確認してからアレンはまた神田の斜向かいに腰掛ける。
神田を見ると取り繕うかのように口元を袖で拭いているのが見えた。
「付き合うことにしたんですよ、僕と。一目惚れってやつですか?」
にこやかに言うと神田は片眉を上げてアレンを上から下に眺めると挑発的に鼻で笑った。
「物好きな奴もいるもんだな」
「やだな、嘘ですよ」
アレンが早口に言うと神田は無表情にお茶を一口仰ぎ黙った。厨房の向こうから能天気な鼻歌が聞こえてくる。
「本気にしましたか? 僕だって会って早々女の子に手を出したりしませんよ」
さっきのは英国式の挨拶です、と付け足す。
神田はそれでも黙っているが、みるみると殺気が漂ってきた。そろそろ六幻を構えて「そこへ直れ!」とか言い出しそうだ。
カンダという人種には冗談は通じないらしい。アレンは心中でため息をついた。
「はい、おまっとさーん」
重かった雰囲気もぶち壊しにが厨房のドアを開けて大量にアレンの朝食を運んで来る。
紅茶とパンの良い匂いがしてくる。
「あれ、神田また眉間に皺いってるよ。いっとくけど朝食にモヤシはミスマッチだよ」
「ンなもんいるか」
神田が湯呑みの中のお茶を揺らしながら幸せそうにクロワッサンを頬張るアレンを睨んだ。
「追い風みたいでさー、なんか予定より早く教団本部まで帰れそうなんだわ」
皿洗いを手伝っているとがそう漏らした。
食堂には巨大な釜がど真ん中に配置されていて、鍋やフライパンがそこらの壁に何本もかかっている。
落ち着いた装飾は、この艦の特徴なのだろうか。
「いつ頃になりそうですか?」
「今日の夜か明日の朝あたりには着くと思うんだよねー」
の手元で洗剤の泡がぶくぶくとふえていく。
「私任務に出されること少ないからちょっと寂しいかなー」
「へ? 何故ですか? 戦闘向きだと思うんですけど」
カチャカチャと皿の擦れる音がする。
「いや龍彦って凄い目立つでしょ? 空飛ぶし。下手に街中行っちゃったら人目につき過ぎてイノセンスどころじゃなくなるのよねぇ」
「そうですか…」
アレンは一言相槌を打って洗い終わった皿を順々に拭いていく。
ちらりと横を見ると泡で遊んでいる少女が見えた。
アレンの視線に気付いたのか、がふと顔を上げてアレンの方を見る。
「ティムキャンピーもついでに洗った方が良い?」
「やめて下さい」
頭の上にいたティムキャンピーが心なし高度を上げた。
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