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「砂糖は何杯ですか?」
「5!」
「……一杯で十分ですね」
⇒ティータイムは伝統よね
小さなテーブルに向かい合って赤頭巾と狼は穏やかなティータイムを過ごしていた。
「きちんと片付いてる…」
「荷物が少ない所為からそう見えるんです」
そう言ってアレンが湯気の向こうで苦笑する。
確かに生活に必要最低限しか揃っていない殺伐とした部屋だった。
「あ、珍しい香り」
「ええ、一度に飲んでもらおうと思ってブレンドしてたんですよ」
フと香ってきた甘い香りにが頬を緩めるとアレンが嬉しそうに答える。
「アレンって真っ白だよね、紅茶とか尻尾なんかに溢したら色落ちなさそう」
「期待に満ちた目で見ないで下さい」
「尻尾引っ張っていい?」 「ダメです」 紅茶のカップを緩く傾けて淡々とアレンが答える。
しばらくが紅茶の香りを楽しんでいるとアレンは徐に立ち上がり無言のまま部屋を出て行った。
は首を傾げるが特に気にすることもなくカップに口をつける。
ふわりと香ってくる優しい匂いには一人上機嫌にニッコリ笑った。
「、コレを」
顔を上げるといつのまにか戻ってきたらしいアレンが椅子をひいて立っていた。
目の前に出されたのは赤い花で綺麗に茎の棘が抜かれていた。
「バラ?」
花を受け取ってクルリと回してみるとアレンが座った。
「ひとつも傷の付いていないヤツを偶然見つけたのでにと思って」
偶然、の部分が少しだけ強調されたがは気が付かない様子でバラを眺めている。
「ありがとう! すっごい綺麗!」
一頻りバラをくるくると回した後がニコニコと笑う。幼い印象を受ける笑顔だった。
「あ、いえ……その、良かったです」
アレンは一瞬驚いたように白い犬耳をピンと立てたがすぐにに同調するように微笑んだ。
彼の顔が微かに赤くなっていたことをすぐ赤いバラに目を落としたは気付かない。
お使いをすませると既に時計の針は出発時刻から大きく動いていた。
はバスケットを片手に自宅のドアを開く。
玄関の照明が少し眩しい。
「ただーいまー。聞いて神田ー」
「手洗いうがいしてこい」
「それよりさー、コレ見てコレ、綺麗でしょー」
ニコニコと母親の言うことを無視して一輪のバラを掲げる。
神田は一瞬眉を歪ませてそれを見たが興味なさそうに鼻を鳴らした。
「アレンから貰ったの」
一瞬で神田の表情が険しさを増す。
傍らの日本刀を掴むとが身の危険を感じて即座に後ずさった。
「ちょ、神田、ダメダメダメ!」
母親の殺気に触れて自分の失言に気付いたらしいがバラを後手に匿う。
「、こっち来い」
「行ったら斬るでしょ」
「……」
「沈黙は肯定!」
踵を返しダッシュで自室に逃げ込んで慌ててドアを閉める。
神田の怒声がドアを伝わってくる。
「もう、神田の神経質」
主にアレンに関しては。
いや神経質というより反射に近いかな、あれ。
心の中でボヤいては自室の花瓶に頂き物の花を付け加える。
は満足げに微笑みかけ、夕飯を食べに部屋から去った。
綺麗な真紅の花が際立って咲いている。
一万ヒットありがとうございました。
狼=アレンエンドです。微妙。ママが出張ってる。
ちなみにバラ云々の元ネタは某ドラマの浮k(自主規制)。
とりあえずほのぼのできればいいなぁと思った。
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